2017年05月22日
「昔はなし」その308 浅吉、高利以上だと嘆く
浅吉、高利以上だと嘆く
本町の横町に中村浅吉という金貸しの手
代みたいなことをして歩いていたのがあり
ます。品格のまことにない男でしたが、義
太夫が下手なくせに好きで、あちこちの後
家などを集めて首をふりふり義太夫をうな
っていました。
当時、女義太夫で綾之助、綾菊は大へん
な美女で大人気でした。浅吉は一生の想い
出に、この二人を座敷へ呼んで酒の酌をさ
せてみたいという悲願を起しました。そし
て料亭松米の女将に「どんなもんぢやろ
う」と相談しましたところ「何んとか話し
てみよう」ということで女将が太夫元へ掛
合うと幸い太夫元も承諾してくれ、終興行
の晩お伺いしようという返事がきたので中
村浅吉は「ほんとうかい」と大喜びで、床
屋へ出かけるやら、おちおちもできずにそ
の夜を迎えました。
女義太夫の綾之助、綾菊が金貸の手代中
村浅吉の願い通り、今夜はやってくるとい
うことになったとき、浅吉は金キセル、金
ぶちメガネという装いで待ちかまえていま
した。
夜も十一時すぎたころ、ようやく今から
いくからという連絡がありました。そのう
ちに太夫元が一足さきにやってきて女将に
「御祝儀だけは先にくれないと困る」とい
って百円ずつ、つまり二百円を先銭でうけ
とっているうちに綾之助、綾菊がやってき
ました。
浅吉は座敷に膳をすえて待っていると、
そこへ太夫元につれられた綾之助、綾菊が
やってきて、座敷の入口で両手をついて挨
拶と礼を言うなりすうっと座敷へもはいら
ず帰ってしまいました。
浅吉はあっけにとられて「こんな馬鹿な
ことはない」と太夫元をなじると太夫元は
「両女はとても疲れているから」とあつさ
りしたもんでした。
あとで浅吉が「俺の高利が高い高いとみ
んなが言うが、綾之助、綾菊の方がもっと
高かった」と自分でこぼしていました。
本町の横町に中村浅吉という金貸しの手
代みたいなことをして歩いていたのがあり
ます。品格のまことにない男でしたが、義
太夫が下手なくせに好きで、あちこちの後
家などを集めて首をふりふり義太夫をうな
っていました。
当時、女義太夫で綾之助、綾菊は大へん
な美女で大人気でした。浅吉は一生の想い
出に、この二人を座敷へ呼んで酒の酌をさ
せてみたいという悲願を起しました。そし
て料亭松米の女将に「どんなもんぢやろ
う」と相談しましたところ「何んとか話し
てみよう」ということで女将が太夫元へ掛
合うと幸い太夫元も承諾してくれ、終興行
の晩お伺いしようという返事がきたので中
村浅吉は「ほんとうかい」と大喜びで、床
屋へ出かけるやら、おちおちもできずにそ
の夜を迎えました。
女義太夫の綾之助、綾菊が金貸の手代中
村浅吉の願い通り、今夜はやってくるとい
うことになったとき、浅吉は金キセル、金
ぶちメガネという装いで待ちかまえていま
した。
夜も十一時すぎたころ、ようやく今から
いくからという連絡がありました。そのう
ちに太夫元が一足さきにやってきて女将に
「御祝儀だけは先にくれないと困る」とい
って百円ずつ、つまり二百円を先銭でうけ
とっているうちに綾之助、綾菊がやってき
ました。
浅吉は座敷に膳をすえて待っていると、
そこへ太夫元につれられた綾之助、綾菊が
やってきて、座敷の入口で両手をついて挨
拶と礼を言うなりすうっと座敷へもはいら
ず帰ってしまいました。
浅吉はあっけにとられて「こんな馬鹿な
ことはない」と太夫元をなじると太夫元は
「両女はとても疲れているから」とあつさ
りしたもんでした。
あとで浅吉が「俺の高利が高い高いとみ
んなが言うが、綾之助、綾菊の方がもっと
高かった」と自分でこぼしていました。
Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)
│豊橋の昔はなし