2017年05月13日

「昔はなし」その299 たね吉、六四郎に惚れる

たね吉、六四郎に惚れる

 まだ二十才のころの杵屋六四郎が豊橋へ
来たとき、その席へ来ていたたね吉という
芸者が二十才の六四郎にすっかり参ってし
まいました。そのたね吉は、芸は達者なん
だが、御面相ときたら、どうにも普通とは
申せませんでした。
 たね吉は、今夜は、六四郎の部屋に、ど
うしても泊めてくれと駄々をこねるので六
四郎も弱りはてて、私に、どうか、今夜は
自分の隣りに寝てくれといい、たね吉には
「この家の息子さん(私のこと)が、ぜひ
自分といっしょに寝たいといっているから
………」とたね吉の注文を断りました。
 翌日、六四郎は私に「君が隣りに寝てく
れて私は助かった」と、とても嬉しそうな
顔をしていました。

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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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