2017年05月12日
「昔はなし」その298 花火の手筒をとる男
花火の手筒をとる男
吉田神社の祭礼のときでした。札木の連
中は打揚げが忙しいので前日の手筒を一本
残しておきました。
打揚も終了して、前の残して在る手筒に
移ったんですが、もう十時をすぎていて、
参拝者の足も少なくなっていました。
札木の連中は残っている手筒にとりかか
ると、この一人の男がそれに抱きついたの
です。「危い、危い」と騒いでいるうち
に、花火が出終ると、その筒をひったくっ
て走り出しました。そこで花火場は大騒ぎ
になりました。
手筒をひったくって逃げだした男を「誰
だ誰だ」といううちに、それは呉服町の雑
貨店の主人だとわかりました。
そこで、札木の若い衆が二十人ほど、そ
れっとばかりに乗込んでいくと、主人はま
だ帰っていない。待っているうちに主人が
「やっとう、やっとう」と筒をかついで戻
ってきました。近所では何事かと、みんな
表へ出て、警戒しているうちに、雑貨店の
中では若衆と主人がつぎのような話をして
いました。
この主人は近くの漁村出の人で、在所の
漁師から手筒がほしいと頼まれていたので
す。これを船のヘさきにつけて御祈祷する
と豊漁になるためだったからです。それも
花火がでているうちに奪いとらないと効果
がないということで、その主人は機会を一
晩中ねらっていて漸く手に入れたというわ
けでした。
話を開くと、悪意でないことが判ったの
で札木の若い衆も気持はやわらいだのです
が、神事のさなかに、こういう事件を起し
たことは申しわけないということで、神前
にそなえる酒をその主人が買い話はまるく
おさまったことがあります。
吉田神社の祭礼のときでした。札木の連
中は打揚げが忙しいので前日の手筒を一本
残しておきました。
打揚も終了して、前の残して在る手筒に
移ったんですが、もう十時をすぎていて、
参拝者の足も少なくなっていました。
札木の連中は残っている手筒にとりかか
ると、この一人の男がそれに抱きついたの
です。「危い、危い」と騒いでいるうち
に、花火が出終ると、その筒をひったくっ
て走り出しました。そこで花火場は大騒ぎ
になりました。
手筒をひったくって逃げだした男を「誰
だ誰だ」といううちに、それは呉服町の雑
貨店の主人だとわかりました。
そこで、札木の若い衆が二十人ほど、そ
れっとばかりに乗込んでいくと、主人はま
だ帰っていない。待っているうちに主人が
「やっとう、やっとう」と筒をかついで戻
ってきました。近所では何事かと、みんな
表へ出て、警戒しているうちに、雑貨店の
中では若衆と主人がつぎのような話をして
いました。
この主人は近くの漁村出の人で、在所の
漁師から手筒がほしいと頼まれていたので
す。これを船のヘさきにつけて御祈祷する
と豊漁になるためだったからです。それも
花火がでているうちに奪いとらないと効果
がないということで、その主人は機会を一
晩中ねらっていて漸く手に入れたというわ
けでした。
話を開くと、悪意でないことが判ったの
で札木の若い衆も気持はやわらいだのです
が、神事のさなかに、こういう事件を起し
たことは申しわけないということで、神前
にそなえる酒をその主人が買い話はまるく
おさまったことがあります。
Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)
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