2017年05月08日

「昔はなし」その294 桂太郎と乃木将軍

桂太郎と乃木将軍

 ニコポン総理と言われた桂太郎は、その
名のごと、きわめて、ものごとに気安い人
でした。
 芸者などが目八分にして膳などをもって
いくと、桂はおかしがって、ペロリと舌を
出すのがくせでした。そういうとき、笑い
顔にエクボがポカッとできるのが、桂の特
徴で、その顔がなんとも言えない表情でし
た。
 桂太郎とちがい乃木将軍は、宿へ泊って
も女中の手をわずらわさないで、何もかも
自分でやるという人でした。
 ランプ時代ですから、ランプを消して、
行燈に火をつけかえることなども自分でや
り、床なども自分で敷いて寝るといったぐ
あいでした。
 女中などに食事のお給仕などをさせたこ
とはなく、自分で飯をつけるならわしでし
た。夜、やすむときでも、火鉢に灰を厚く
かむせてから横になるといった注意がふか
い人でした。
 乃木将軍の話ですが将軍は駅につかれる
と、そこから宿まではてくてくと歩かれま
した。荷物をもった従卒を入力車にのせて
宿まで先に走らせます。
 やがて将軍は宿につくと、先にきて待っ
ていた車夫に車代を払うのですが、それが
車夫を驚かすほど多額なものでした。
 宿泊中でも、さきに申しましたように、
何もかも自分で始末されて、女中の手を煩
わさないのですが、女中への心づけは、こ
れがまたたいへんな額なので、女中たちは
恐縮しながらも、乃木さんという人柄を知
らず知らず尊敬するようになったものです。
 また、一日中軍服ですが就寝の時はシャ
ッだけでありました。

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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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