2017年04月29日

「昔はなし」その285 一升酒で酔わぬ方法

一升酒で酔わぬ方法

 その昔、豊橋で一升飲んでも酔わないと
いうような連中をあげますとまず神戸勇一
です。この人は「一ぱいのんでワハハッと
笑えば酔いは消えていく」と申していました。
 大口喜六は二合入りのコップでキューツ
とやる。そして町内中に聞えるほどの大き
な声で「こりゃ、こりや」と二、三回やれ
ば酔いは飛んでいくと申していました。
 黒川庄次郎は酒のあとで黒ビールを一本
のめば酒は消えると語っていました。
 永井仙十は長唄を一番うたえばケロリと
いうし、大木吉弥は「アンコロのアンと汁
粉をのみながらのめば決して酔わない」な
ど流儀はいろいろでした。
 一升酒の話だが、松田という郡書記は酔
ったなと思うと、風呂へはいるくせがあり
ました。
 角平(かどへい)の婆さんは盃でのむか
ら酔うのだ。茶碗でのんだら酔わないとい
っていました。
 中尾富三郎は「夕暮」を一つ踊れば一升
の酒もさめるといっていました。
 ひきつづいて一升酒の話ですが、斎藤郡
書記はチシャ葉でのめば一向に酔わないと
いっていました。また、髪結いのおいち婆
は、五目飯を一口ずつ喰いながら飲めば、
酔うことはないといっていたし、富田吉作
は酒の匂いをかがないように鼻をつまんで
のむに限ると秘伝を語っていました。川清
の先代はまっ茶をもっていって、それを水
でのみながらやれば、酒に酔うことはない
と、それぞれの秘伝をいっていました。

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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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