2017年04月18日

「昔はなし」その274 千変万化、六四郎の長唄

千変万化、六四郎の長唄

 のちに浄観となった杵屋六四郎がまだ二
十才くらいのころ、豊川稲荷へ参詣の途中
か、なにかで私のところへ寄りました。
 「今日は骨休みで、豊橋の芸能家を集め
て遊びたい」と、芸で身を立てている人を
全部あつめて、みんなが一つずつ芸をやり
ました。その噂を聞いて素人で芸にこって
いる人も集り、芸者もやってきました。
 六四郎は「では私も一つやらせていただ
きましょう」と長唄の越後獅子を弾きまし
た。歌は席にいた誰かがやりました。曲が
相の手にはいると、長唄の三味線は常盤津
になり新内になり、清元に変り、また都々
逸になったり千変万化を見せて、ようやく
長唄越後獅子に戻ってきました。「こんな
ことは東京ではやれません。それに、もう
二度とはやれない。豊橋だけのことです」
と笑っていました。

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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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