2017年04月10日

「昔はなし」その266 薬師寺のぶどうの彫刻

薬師寺のぶどうの彫刻

 奈良の薬師寺へ参詣したとき修繕のため
に五重塔の宝珠が下へおろされていまし
た。それを拝見すると経文が手彫りによっ
て一面に書かれていました。また、本堂の
しゅみ壇にぶどうの彫刻がありました。ギ
リシャにしかない時代にどうして、ぶどう
など彫ったのだろうかと感心して聞くと、
それは元信が虎などを見たことがないのに
虎を描き(金比羅さんの社務所にある)崋
山がオランダ人などを見たこともないのに
オランダ人を描いたのと同様であろうとい
う話でした。しかも、それらの作品は実物
を知っている後世の人が鑑賞しても、少し
もおかしなところはない。しっかりした写
生のもとに猫かれた絵としか思えないのは
全く驚くほかはありません。
 このことを豊橋のある金持と語っている
とき、その金持は「君、それは閑があるか
らだよ、閑さえあればできるよ」という返
事でした。元信や崋山の芸術の高さに驚く
以上にこれには私も驚いてしまつたことが
あります。



注・本文中に薬師寺の五重の塔と有りますが、三重の塔の誤りと思われますが元の文の通りにしてあります。

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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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