2017年04月05日

「昔はなし」その261 苦心する春慶塗り

苦心する春慶塗り

 私は鎌倉期の塗物を見たことがありま
す。朝鮮や支那の古い塗物もあつて、唐物
(カラモノ)と呼んでいますが、唐物と鎌
倉時代の塗物とはまことによく似ていま
す。ちょっと見たくらいでは区別がつきか
ねるほどです。野代春慶塗りというのがあ
ります。これは黄色がかっています。飛騨
の春慶塗りは赤味を帯びています。野代春
慶塗りなどは海上へ船を出して、船の上で
塗りをしたと申します。つまり、ほこりを
きらったわけです。飛騨春慶塗りもそれに
近い努力をしたわけですが、昔の人々の苦
心には頭が下るし、またその苦心があって
後世にのこる名品ができたことと思います。
 春慶塗りの話をしましたが、これを菓子
にたとえると、有平糖なども、今は機械で
いたしますが、昔は六枚びょうぶを立て
て、一人が、その中へはいって金たらいの
上に材料をおいて、つくったものです。六
枚びょうぶを立てたというわけは風をあて
ないためだったのです。
 葦の葉のへらへらとした感じなどは、指
さきでつくらないと絶対うまくいかないも
のです。今は機械だから葦の葉をつくって
も厚手の葉になって、昔の有平糖の雅味は
どうしても出てまいりません。


ウィキペディアより有平糖

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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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