2017年02月19日

「昔はなし」その216 中尾富三郎のくもの巣

中尾富三郎のくもの巣

 豊川の中尾の別家である中尾富三郎は夕暮
がとくいでした。三味線の相手など待っていな
いで、飛ばして踊ってしまうのです。魚町で能
楽の「土くも」を見てから、あの程度のことなら
俺でもやれる」といって出入の大工に「くもの巣
をつくってくれ」と言いました。これには大工も
困りましたが、どうにか、くもの巣をつくりあげ
ました。
 富三郎はこれを自分のたもとへ入れて歩い
ていました。銀行などへ行って預金係が「どう
も有難うございました」と頭をさげたトタンに「え
いッ」とくもの巣を投げつけるのです。また道を
歩いていて知人にあって相手が「いいお天気
で」という瞬間に「えいッ」とくもの巣を頭から
かぶせるのです。妙な趣味でしたね。


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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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