2017年02月04日

「昔はなし」その201　額に敬礼した楠本議長

額に敬礼した楠本議長

　田辺大隊長が転任してから、松平春嶽公の
令息が十八連隊へ入隊されました。その令息
へ面会のために当時の衆議院議長楠本が豊
橋へやってきて、面会の帰途、私のところへ寄
られました。
　楠本議長にとっては、やはり春嶽公が旧藩主
だったのです。私の家で例の田辺大隊長から
私がいただいた春嶽公の偏額があったので、
それを見た楠本議長は、やにわに形をととの
えられ、二、三歩後へさがって三拝されまし
た。そして「どうして、この額がここに？」とたず
ねられたので、かくかくの次第と話すと「こゝで
旧主にお目にかゝれるとは……」と感無量の
様子で、その両眼には涙さえ浮んでいました。
　松平春嶽公のことは、年とともに、やかましく
云々されているようになり、私も書物などで、春
嶽の偉大さをはじめて知ったとき、たまたま大
山巌元帥が来豊されました。私が額の文字を
依頼すると「もしここへ掛けるなら春嶽公の上
位にならぬように掛けてくれ」と言われました。
そこで私はまた春嶽公がどんなに偉い人であ
ったかを深く感じました。

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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0) │豊橋の昔はなし
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