2017年02月03日

「昔はなし」その200 田辺大隊長と料理

田辺大隊長と料理

 昔、十八連隊に田辺良成という大隊長があり
ました。この人の旧藩主は有名な松平春嶽公
で田辺は公の書を額にしてもつていました。そ
れは旧藩主からもらったもので、非常に大切に
していましたが、名古屋へ転勤のとき田辺から
私は貰いうけましたが戦争で焼いてしまいまし
た。
 この田辺大隊長は軍人に似合わない食通で
した。私は一度、この田辺の家へ招かれて御
馳走になったことがありますが、そのときの料
理はおつゆの中に生しいたけ、高野豆腐、そし
て青のりの焼いたのだけでした。
 何だかものたりないような献立ですが、出し
は昆布でやったという話でした。それから日が
経って、私が島海老即ちイセエビとかカマクラ
エビと申しますが、これを塩むしにしたとき、田
辺が、これはしたじがいけない、これは昆布だ
しでやったようだが、これはカツオブシを花けず
りしてとったものでなくてはいかんと申しまし
た。軍人でしたが、昆布と力ツオブシの使いわ
けを、ちゃんと知っていたんです。

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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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