2017年01月18日

「昔はなし」その184 児玉旅団長と新妓

児玉旅団長と新妓

 児玉怒忠という旅団長がありました。落馬し
て自宅療養をしておられたのでお見舞にいくと
玄関に「面会謝絶」と出ているので、仕方なく
戻ろうとすると、あとから女中が追いかけてき
て「閣下がお目にかかりたいそうです」という
わけです。寝室へ通されると夜具を高く積み、
それにもたれて大あぐらをかき、桐の火鉢を
左右に六個おいて、まるで殿様みたいな格
構でした。
 児玉殿様はいきなり「おい、若いいい妓は出
たかい」という質問に「はい、四、五人出まし
た」と答えると「そうか、それなら二、三日中に
出かけるよ」とたいへんな元気です。「でも閣下
は御療養中ですから」と心配すると「なに、もう
いいんだよ」と打ってかわっての様子でした。
 私は「それでしたら二、三日うちに、その四、
五人をつれてお見舞の名目で御披露に参上し
ましょう」と提案すると「そうかい、そりゃ有難
い、だったら、もう四、五日面会謝絶にしてお
こう」と言われたのには、まったく吹き出しそ
うでした。

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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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