2017年01月15日

「昔はなし」その181 二千人の客に四百人のサービス

二千人の客に四百人のサービス

 村野山人の別荘披露の話ですが、余興場で
は曲芸、おどり、掛合(今でいう漫才)などが行
われていました。そのうちに二千人の客がテン
トの中の席へつくと、大阪の知事の挨拶、村野
夫妻の言葉があって開宴となりました。
 私は二千人からの客を接待するためには大
皿へ御馳走でももってくるのかと予想していま
したのに、スープから一皿ずつ洋食テーブルの
礼にならつてボーイが運びだしたので、びっくり
しました。型通りのホテル料理で、果物、コーヒ
ーと最後まで、しかも少しも客を待たせない手
際に驚歎して「いったいこの準備はどうしてや
っているのだろうか」と、こっそり調理場をのぞ
きに参りました。
 二千人のテント宴会場の客にスープすら少し
も冷たくなく適当な熱度をもっていたその調理
場はボーイの数が三百人、調理のコックさんは
五十人だというのです。しかも、その下働きが
また五十人いて働いているということでした。
 つまり二千人の客のために四百人の人が、
料理のために働いていたわけで、それだけの
人員を用意して、招いた客に心から満足感謝
させた村野山人という実業家の表面だけでな
く、すみずみまで心をくばった饗応ぶりに、た
だただあきれるほど感心いたしました。

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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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