2017年01月04日

「昔はなし」その170 馬をしずめる安藤

新年明けましておめでとうございます。

今年も「昔はなし」をよろしくお願いします。


馬をしずめる安藤

 安藤政次郎の話をもう一つします。ある日、
荷馬車の馬が手綱をきって飛びだしました。
あれよ、あれよと云ううちに馬は町のなかをか
けていくのですが、誰もどうするわけにも参り
ません。ちょうど、そこへ、安藤が来合せて、
奔馬に近づいて、ぎゅっと、馬をおさえてしま
いました。
 あとから走ってきた馬車ひきが御礼を述べて
「どちら様でしょうか」と聞いたんですが、安藤
は「いや、聞かせるほどの名前でもない」と去
って行きました。集ってきた人達が「ありや、
安藤動物園だよ」という説明で馬車ひきもはじ
めてそれと知りました。数日後、馬車ひきが改
めて安藤の家へ礼を述べにいくと安藤は「礼な
んか困るよ、けが人がなくてよかったなあ」とそ
れだけでした。無慾な、そして人のしないこと
を人のためにするといった安藤の人がらはこ
ういうぐあいでした。
 


同じカテゴリー(豊橋の昔はなし)の記事画像
「昔はなし」その177 豊川鉄道の開通式
「昔はなし」その163 安藤の豚会社
「昔はなし」その151 三千円で失つた機関庫
「昔はなし」その143 仙十さんの太閤ぶり
「昔はなし」その135 悟真寺の池
「昔はなし」その112 浮世絵と川せり
同じカテゴリー(豊橋の昔はなし)の記事
 「昔はなし」その312 あとがき (2017-05-26 06:00)
 「昔はなし」その311 札木の八日講の御膳所 (2017-05-25 06:00)
 「昔はなし」その310 服部長七の鋭い頭 (2017-05-24 06:00)
 「昔はなし」その309 豊沢団平の三味線 (2017-05-23 06:00)
 「昔はなし」その308 浅吉、高利以上だと嘆く (2017-05-22 06:00)
 「昔はなし」その307 皇太子の料理人の苦労 (2017-05-21 06:00)
Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。