2016年12月28日

「昔はなし」その168 安藤と鮎の塩焼

安藤と鮎の塩焼

 私が「しょうこう熱」で豊橋病院の伝染病棟に
入院したことがあります。そのことを安藤政次
郎が聞きつけて、ある日安藤がひょっこりと病
室へはいってきました「おい君はどうしてはいっ
てきたんだ」と私は驚いて聞くと、安藤は「玄関
で聞くと、誰もいれん、家族の者も入れんと言
っとるから、裏からはいつてきたんだよ」という
話しでした。
 つまり安藤は家裏のくぐり戸からはいつてき
たわけです。安藤が「何を喰っているか」と開く
ので「何も喰っていない、医者がうるさいから」
というと「そりや、いかん」といって、翌日、鮎の
塩焼のほかほかするのを持ってきて「かまわん
から喰え、よければ明日も持って来る」という
のです。私も腹が減っているので喰べてしまい
ました。
 そこへ看護婦がきましたが、玄関で許しをう
けただろうと思って「帰りには消毒をしていって
下さい」というと「消毒なんて…」と笑って、また
裏口から出ていってしまいました。私はそれか
ら四日目に退院
しました。


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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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