2016年12月22日

「昔はなし」その162 安藤の大池かいどり

安藤の大池かいどり

 安藤政次郎は豊橋へやってきて清水へ住み
ました。妙円寺の近くでした。彼が豊橋へ来る
なり「向山の大池の主(ぬし)を捕えるために、
大池のかいどりをやる」と声明?をしました。
今でいう華厳の滝壷を探険するといったような
もので、さあ、豊橋中が大人気です。当日はぞ
ろぞろと向山へ向って市民の大行列でした。
 黒山のよううな見物が大池の周辺をうずめつ
くしたとき、死ぬまでずっと彼がかむっていたイ
ギリス製か何かの鉄カブトを安藤はかぶって、
はだかになって池の一角に現われました。見
物はわいわいと大騒ぎでした。
 安藤はしばらく水にもぐったり出たりしていま
したが、池の主(ぬし)はついに捕わりませんで
したが、このために、安藤の名は市中にひびい
て、一躍有名になりました。人情の「きび」を知
ることが安藤は上手だったわけで、大池の主を
つかまえると云いつつ、彼自身の名を市民の
心に強く植えつけたというわけです。


「郷土豊橋を築いた先覚者たち」より安藤政次郎

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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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