2016年12月16日

「昔はなし」その156 熱かんの連隊長

熱かんの連隊長

 当時、名古屋の旅団長をしていた大島久直
は豊橋へも度々こられたが、酒のかんはぬるく
ないと承知しない。といつて冷ではいけないの
です。かんのついたのを暫くおいて少々冷えて
から席へ持っていくと、ちょうど頃あいでした。
 これとはまるで逆だったのが鬼連隊長といわ
れた十八連隊の佐藤正で、火傷をするくらい熱
くないと気嫌が悪いのです。ですから、しまい
には鍋の中ヘ酒をぶちこんで、くらくらと煮たて
て、これを持っていくと「こりゃ、いい。こりゃ、熱
かんでいい」と目を細めて喜こんでいました。
 あるとき、大島と佐藤が一緒に飲んだとき、ど
ういうものか、くらくらの熱かんが大島の方へ
行き、なまぬるいのが佐藤へ問違ってまわって
いきました。二人はそれぞれ「何たる酒だ」とお
酌をしかりとばしていました。いや、はや、酒の
もてなしもこうなると頭痛がいたします。

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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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