2016年12月10日

「昔はなし」その150 連隊長の彼女

連隊長の彼女

 時代はいつ頃だったか記憶にありませんが、
権藤という連隊長がありました。宇都宮から豊
橋へ来た大佐で、なかなかのやかましやで将
校の宴会などを差止め、芸者遊びなどをきびし
く禁じていました。私どもは、集会所へ仕出しを
持って行く程度でした。
 その後、同業の会合で宇都宮へ行って宴会
があつたとき、梅香という芸者がいて、宇都宮
から行かれた権藤大佐を知っているかという
のです。もちろん、よく知っているというと「御出
発のとき、あれほどたよりを堅くお約束したの
に、何の音信もない、さぞおなじみさんができ
たことでしょうが、私のことをぜひ伝えてくれ」
というのです。
 さあ、私も豊橋へ帰ってから、いつ、どういう
場所でその伝言を伝えようかと機会をねらうの
に苦心しました。ようやく御気色のよい日を見
つけて、ちょっとそのことを話すと、いかつい口
ひげが、急にまたピンと張って女なんてものに
は、かヽわりはないと言ふような顔付をされた
ので、恐ろしいよりも、内心、おかしさがわき出
てきて困りました。

同じカテゴリー(豊橋の昔はなし)の記事画像
「昔はなし」その177 豊川鉄道の開通式
「昔はなし」その163 安藤の豚会社
「昔はなし」その151 三千円で失つた機関庫
「昔はなし」その143 仙十さんの太閤ぶり
「昔はなし」その135 悟真寺の池
「昔はなし」その112 浮世絵と川せり
同じカテゴリー(豊橋の昔はなし)の記事
 「昔はなし」その312 あとがき (2017-05-26 06:00)
 「昔はなし」その311 札木の八日講の御膳所 (2017-05-25 06:00)
 「昔はなし」その310 服部長七の鋭い頭 (2017-05-24 06:00)
 「昔はなし」その309 豊沢団平の三味線 (2017-05-23 06:00)
 「昔はなし」その308 浅吉、高利以上だと嘆く (2017-05-22 06:00)
 「昔はなし」その307 皇太子の料理人の苦労 (2017-05-21 06:00)
Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。