2016年11月03日

「昔はなし」その113 払下げの能衣裳など

払下げの能衣裳など
 
 吉田藩が廃藩になったおり、能裳束はじめ書
画などがまことに安値で払物になりました。
 まき絵の硯箱とか、手文庫などを払いうけた
道具屋は、持ちかえるのに荷かさになるといつ
て、割ってナワでしばつて持ち帰りました。今、
思うと、何というもつたいないことかと思います
が、道具屋としては、それに塗られてある金(き
ん)さへ、金(かね)になればよいというわけでした。
 その中でも、花園町の曾田郡吉に払下げた
ものの中に豊国の肉筆の扇面がありました。
十六本ほどのなかに花見の図、美人画などあ
つたようです。曾田家にそれがずつと保存され
ていたのを中村道太が懇望したが、なかなか
手離しませんでした。私が使いに数回出かけ、
その二、三枚を東京へ持っていったことがあり
ます。今その余のものが残されていたら国宝
級のものでしょう。



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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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