2016年10月19日

「昔はなし」その98 百たたきのある日

百たたきのある日

 札木通の大手の角……つまり西角で「百たた
き」というのがよく行われました。罪人のなかで
強情っばりで白状しないのを「百たたき」するの
です。くたくたになった罪人は戸板に乗せられ
て役所へ運ばれていきました。私も一、二回そ
れを見ましたが、じき廃止になりました。「百た
たき」があっても、誰も立ちどまって見る人はあ
りませんでした。「百たたき」があるというと路を
それて通るようにしていました。
 その場所へ縄つきで連れてこられた罪人は
御座にうつ伏せに寝かされます。腰から背まで
着物をまくりあげられて、麻のまいた竹ッペら
の細いのが、しなえるほどにたヽかれます。
数をする役人がいて「一つ」というと他の役人
が一つたたきます。こうして百たたくわけです。
打たれる罪人が黙っていれば竹の鞭は次第に
強くなります。痛くなくても「痛い、痛い」と叫ぶ
と鞭が軽くなりました。


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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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