2016年09月22日

「昔はなし」その71 先代の神野さま

先代の神野さま
 
 神野新田の話のつづきですが、私は先代の
神野金之助さまにお目にかかっています。頗る
信心深い御方で名古屋で市電がまだ通らぬ夜
明けに、毎朝御一人徒歩で本願寺へ参詣され
ていたと聞いています。
 言葉の少ない方で、名古屋へ市電ができて
からも、電車に乗らずに、てくてくと歩いておら
れたようです。
 タバコは喫われませんでしたが、伺えば用意
してあるタバコを人にはすすめるという御人でした。
 私が新田の方へ伺ったとき「御主人と食事を
していってくれ」という御宅の方の御話に「恐れ
入ります」と言葉に甘えて食事をいただいたこ
とがあります。そのおりでも、私を上座に座ら
せ、しかも、手伝いの百姓たちの作った心の
こもった料理でした。私は食事をいただきなが
ら「立派な人だ、温い方だ」と感じました。


「郷土豊橋を築いた先覚者たち」より
神野金之助

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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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