2016年09月18日

「昔はなし」その67 名物は汚ないといわぬ

名物は汚ないといわぬ

 また、喰物の話でもしましょう。昔は、うどん
には、ぶつかけ、ゆづけ、にかけだけでした。
 昔の人はにかけうどんのカツブシやチクワ
をひろって一杯飲んで、あとでうどんを喰うと
いう風でした。
 寿司でも昔はムキミ、チクワ、アブラ揚げ、
ノリマキ以外はありませんでした。
 本町の野沢屋という寿司屋はアナゴとアブラ
揚げの二種類しかありませんでした。それがま
た、とてもよく売れました。今のような厚手のア
ブラ場げでなく、薄手で、それがこわめに煮て
ありました。
 糸柳という寿司屋のアナゴはやわらかく、てり
をぬりませんでした。アナゴはうま煮にしてある
のだから、てりは塗る必要はありません。
 昔のうまいものは屋台店でした。大手の角の
寿司屋、油世古の寿司とてんぷら、関屋のうど
んなどです。油世古のてんぷらは変つていまし
た。大きなアナゴを一本、丸さら揚げるんです。
 屋台の前に大根おろしとタマリが出ていて、
丸さらのアナゴを一人が食うと、そのあとのタ
マリヘまた一人がてんぷらをつけて喰うので
す。汚ないとか、衛生上はどうかなんてことは、
うまいものにはなかったわけです。
 今の人はちょっと試してみる気はしないでしょうな。

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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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