2016年09月02日

「昔はなし」その51 織清のうなぎ

織清のうなぎ

 いま思い出すと、志那乃屋旅館の東くらいの
ところに織清がありました。糸柳の寿司か、織
清のうなぎかと言われたほどです。そのうちに
船町へ川うなぎができましたが、織清のとそこ
そこに、味のよい店でした。
 織清のうなぎのよろしかったのは蒸しかげ
ん、焼、てりの三拍子が揃っていました。今と
は全然かわっていて「うすあんばい」という、
つまりてりが薄いのです。
 昔はうなぎを盛るのに皮の方を上へむけまし
た。いまは反対です。これは好き好きだが皮
を上へむけた方がよろしいと思います。こけら
のついた方を上へ、コケラのない魚はハラの方
を上へむけるというのが日本料理の方法です
から、その法式に従っているのかも知れません
が、うなぎだけは皮を上へ向けた方が興味をそ
そります。
 うなぎをハシではさんだとき、皮と皮がピタリ
と背を合わせてはさまれる、それを口にもって
いかなくては美味しくない。織清のうなぎはそ
れができました。
 丼うなぎに長焼うなぎを使ってはおいしくあ
りません。丼は長焼より細目の方がよろしい。
細目のがほんとうの蒲焼です。蒲焼は蒸さぬ
方がよく、それを丼にいれたい。長焼うなぎは
太くもなるので蒸して用いました。今は丼うな
ぎと長焼うなぎの区別がなくなりました。
これでは、ほんとうの味がでてきませんよ。

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Posted by ひimagine at 06:00│Comments(0)豊橋の昔はなし
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